エネルギーを使わない家づくり
暮らしのコストを下げる手段はさまざまありますが、最も大きいのは光熱費の削減でしょう。2012年に始まった「FIT(固定価格買取制度。太陽光発電などの再生可能エネルギーを電力会社が国の決めた価格で買い取る制度)」によって自宅の屋根に太陽光発電を搭載する家が増えました。
制度のスタート当初は発電した電気の買取価格が高かったため、売電収入で住宅ローンを削減して家を建てる人が多かったのですが、現在は太陽光発電所が増えて日中は電気が余り、買取価格は低下。買い取ってもらえないことさえあります。
そこで登場したのがZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)です。ZEHとは家で使うエネルギーをできるだけ抑え、削減できなかった分を太陽光発電で相殺するという考え方です。ただし、これは最低限の省エネライン。太陽光では夜間に発電できないため、その分の電気を電力会社から買わなければならず、光熱費を減らすのは難しいでしょう。
私が本当におすすめしたいのは、ZEHの上をいくスマートハウスです。自宅で多くの電気を創り、余った電気を蓄えて夜に自宅で利用する。これなら家で使う全てのエネルギーを自給自足できます。これこそ家に求められるレジリエンス機能だと思うのです。
ZEHとスマートハウスの大きな違いは、自宅で創った電気を貯められるかどうかです。どちらも日中は創った電気で自宅の電気を賄えますが、余った電気を電力会社から買わざるを得ません。
エネルギーは賢く自給自足
・ZEHとスマートハウスにはこんなに差がある!
【ZEH】Net Zero Eenergy Houseの略。家の断熱性能、省エネ性能を高めることで消費するエネルギーを減らし、削減できなかった電気を太陽光発電など自宅で創って賄い、家のエネルギーの収支をおおむねゼロにする家のことです。
(使うエネルギー)―(断熱+省エネ+創エネ) ≦ 0 夜は電力会社の電気が必要
【スマートハウス】断熱性能、省エネ性能の高い家であるのはZEHと同様。自宅の太陽光発電でできるだけ多くの電気を創り、余った電気を蓄電池やEV車に貯めて夜間に利用する家。家で使う全ての電気が賄えます。
(断熱+省エネ+創エネ+蓄える)-(使うエネルギー) ≦ 0 昼に創った電気を貯め夜の電気まで自宅で賄える