№30 地球にもやさしい、自給自足の家

電気を自給自足することで「脱炭素」社会に貢献する

家づくりで忘れていけないこと

電気を買わず、太陽光発電で自給自足する家づくりは、世界的に動きが加速している「脱炭素」社会の実現に貢献することでもあります。2021年、米プリンストン大学上席研究員の真壁淑朗さんがノーベル物理学賞を受賞しました。真壁さんは世界に先駆けて、二酸化炭素濃度の上昇が地球温暖化に影響するという予測モデルを発表し、その功績を評価されての受賞でした。地球温暖化は私たち一人一人が取り組んでいくべき問題です。家づくりもその例外であってはいけないと思うのです。

一方で、東日本大震災の津波によって福島の原子力発電所が被災し、未だに廃炉作業が続けられています。放射能汚染という二次災害で多くの人が故郷を追われ、戻ることができない人もたくさんいます。こうした人たちの犠牲によって、私たちは原発が未来に多大なリスクを持つ発電所であることを学ばせてもらったのです。

2022年7月、岸田文雄首相は原子発電所を今秋に最大で9基、火力発電の供給能力も10基増やすと表明しました。せめて家庭で消費する電気は自給自足できる家を建てるべきです。積雪で太陽光発電のできない地域ならまだしも、そうでない地域に新築されるなら、電力会社に依存する暮らしから脱却するべきです。

あなたが家を建てるなら、最低限の基準はZEHだと考えてください。現在ZEHのロードマップは、国連気候変動枠条約(COP)により年々厳しくなっています。家から排出されるCO2を削減できる能力が、これからは家の価値を左右します。

〇地球温暖化のしくみ

地球温暖化は、大気中のCO2(二酸化炭素)などの温室効果ガスが増えることで地表の熱が宇宙空間に逃げられなくなり、気温が上昇するという現象です。その影響は、異常気象や自然災害、生態系の変化などさまざまなところに及んでいます。