№62 市場連動型だからできるFIP制度

創った電気を株のように売買する

今は買い? それとも売り?

今後の日本の再生エネルギー施策は、固定価格買取制度(FIT)から「フィードインプレミアム制度(FIP)」へ移行していきます。

FIP制度は、これまでのように電力会社が自宅で発電した電気を固定価格で買い取るというものではなく、再エネ発電事業者が電気を電力市場で売電し、その売電業者が電気を電力価格に対して一定のプレミアム(補助額)が上乗せされるというものです。

自宅で発電した電気を売電するのは、証券会社で株を売るような感覚です。株を電気に、証券会社を再エネ発電事業者に置き換えるとイメージしやすいと思います。そして、あなたの担当となる証券会社の社員に変わる存在がリソースグリゲーター(RA)と呼ばれる人です。RAは市場の電力需給バランスを見るアグリゲーションコーディネーター(AC)から指示を受け、契約家庭の売電量を調整します。例えば、「今は市場に電気の供給が多いため、電気を使わないと発電所が停止します。EV車などに充電をしてください」「今は市場の電気が不足気味なので、電気を買わずにEV車の電気を使ってください」という具合です。こうしたRAからの指示に対応できる家庭はDRというインセンティブ(報奨金)を得ることができます。

電気を消費する側が電気の使用料を制御して電力市場全体の需給バランスを保つしくみをディマンドリスポンス(DR)と言います。各家庭も電気の需要を増やしたり(上げDR)減らしたり(下げDR)することで、電力全体の安定供給の一翼を担うのです。

FIT制度からFIP制度へ

●ディマインドリスポンス(DR)ディマインドリスポンス(DR)とは、各家庭が電気の使用料を制御することで市場の電気の需給バランスを保つための仕組みです。売電を行う事業者RA(リソースアグリゲーター)は、市場の電気が逼迫した時、「電気を使うのを控えてください)と各家庭に指示します。各家庭はそれに従い、電気の不足時には蓄電池やEV車に充電した電気を使い、反対に電気が余っている時には、電力会社から電気を買って蓄電池やEV車に充電を行います。