№56 省エネ性能を評価する「BELS評価書」

マイホームの資産価値を証明するたった一つの方法

これからの家づくりに必要なもの

現行の改正建築物省エネ法では、工務店やハウスメーカーは家の設計に際し、お施主様に対して①省エネ基準への適否、②(省エネ基準に適合しない場合)省エネ性能確保のための措置について、書面で説明することが義務付けられました。お施主様が建築を依頼すると、工務店は「この断熱材をあと〇cm太くすれば、ZEH基準の外皮熱貫流率(UA値)をクルアした省エネ住宅になります。」などと、省エネ基準に照らし合わせて書面で提案します。もしお施主様が「余計に費用がかかるから、このままでいいです」と提案を受けなかった場合、当然なら家の省エネ性能は上がりません。新しい家が快適でなかったとしても、それはお施主様の責任ですし、省エネ性能が低いと税や住宅ローンの優遇も受けられず、将来の価値も上がりません。これからは家の省エネ性能が今まで以上に厳しく問われます。つまり省エネ性能の高い価値のある家を建てていれば、売却の際も高く売れるということでもあります。

現在、家の省エネ基準を証明する方法は「BELS評価書」しかありません。その家が次世代につなぐ住宅性能であることを保証する重要な証明書ですから、家を建てるときには絶体に発行してもらい、保存しておきましょう。

BELS(建築物省エネルギー性能表示制度)は、建物の省エネ性能に特化した第三者認定制度です。BELS評価機関に申請すれば評を申請する際にも資料として活用できます。

BELS表示マーク

BELS評価書では、家の省エネ性能のランクが5つの星の数で表示されます。星2つ以上なら省エネ基準に適合、星の数が多いほどランクがあがります。評価書の下部には、省エネ基準適合の可否をUA値(または、冷房期の平均日射熱取得率を示すηAC値)を記載することが可能で、その家の省エネ性能のアピールにもなります。

№55 無責任な工務店に家づくりを頼んではダメ

要望を叶えるだけが良い工務店ではない!

未来を見ている工務店を選ぶ

我が国の空き家対策は終わることのない社会問題です。これから手をかけて再生するにしても、コストをどこまでかけるかを考えれば、このまま消失する家の方が多いでしょう。いわゆる未来に価値のない家づくりであったのです。これは家を建てたお施主様だけの問題でなはなく、習熟度の低い、未来を予見できない工務店の責任も大きいと思います。

わが国には多くの工務店やハウスメーカーが存在し、そこで働く設計士たちがさまざまな間取りを考えています。これだけあれば、ある程度は固定的な建築ルールにのっとって家が建てられてもおかしくないと思うのです。しかし、工務店や家づくりをするお施主様の要望を聞くだけ聞いて、無責任に家を形にする会社もあります。家に壁をたくさん立てて、昼も暗い、動線が悪い、そんな家を建ててしまうのです。

そもそも日本の家の省エネ基準は世界基準でみても低すぎます。2030年までに全ての戸建て住宅をZEH基準にするという国の方針が決まっているので、電気を自給自足できない家を建てれば2031年にその家を売ろうとすれば格安になるということになるでしょう。

今の日本では、75戸に1戸は空き家だと言われています。これからは新築編重の考え方から、あるものを長く住み継いでいく考え方にシフトしていくでしょう。ただし、次の人が住みたいと思うような価値のある家でなければ残すことはできません。

№54 先々まで見据えた家づくりが成功する

初期費用が安ければそれで大丈夫ですか?

すぐそこの未来より10年後をみましょう!

ハッキリ言えば、いい家を建てるとそれなりの金額は必要です。これからの時代に対応する設備を備えようとすれば、費用は必要になるのです。ただし、だからといって費用負担が重いと考えるのはチョット待ってください。一般的なスマートハウスの初期費用と建てた後の維持管理費用は、一般的な住宅は建築費を安く抑えることができますが、その後は光熱費がかかり家を維持する費用負担が大きくなります。また、空気環境の悪い家で暮らしていると医療費もかさむかもしれません。

一方のスマートハウスは、建築費の他に太陽光発電等のさまざまな設備費用が必要になります。初期費用は一般住宅よりも高くなります。しかし、その後の光熱費は大幅に削減できるので維持管理コストも削減が期待できます。ZEH基準をクリアすると様々な補助金や優遇措置を受けられ、さらには自宅で創った電気の余りを売電することもできるのです。

ほとんどの人はマイホームの購入時に35年の住宅ローンを組みます。家のコストは家を建てる前だけでなく後のことまで考慮することが重要なのです。あなたはどちらの家が得だと思いますか?

工務店がお施主様の要望やこだわりを聞くのは大事なことですが、そのままを形にすればいいわけでもありません。私はお施主様に寄り添いながら、色々と提案しています。

№53 60年保証制度というお墨付きが大事

建てた後のメンテナンス費用を忘れていませんか?

瑕疵担保10年のままで大丈夫?

金持ち父さんが建てるのは、建てた後の失費が少なく「資産」になす家です。とはいえ、月日が経てば最低限のメンテナンスは必要ですし、この頃の異常気象を考えると、家に何らかのアクシデントが起こる可能性もあります。そこで、今日のブログは家の保証についてお話ししたいと思います。

工務店には、お施主様に対して10年瑕疵担保保証制度を付加する義務があります。この制度は延長しても最大20年で終了します。一方、大手ハウスメーカーでは最長60年保証制度の採用が当たり前になっていることはご存じでしょうか?。保証を受けるには、相当の基準と定期メンテナンスが必要です。何かが起きる前にしっかりとチェックすることが大切であり、無駄な支出を抑えます。

最近は軒を造らない、キューブタイプの家が流行っていますが、私に言わせれば、これほど雨漏りの発生しやすい家はありません。ほとんどの雨漏りは、設計と施工が原因になっています。キューブタイプの家は好きな外観デザインかも知れませんが、もし工務店に「その家には60年保証をお付けできない場合もありますが、それでもいいですか?」と聞かれたらどうしますか?

家を「資産」と位置づけるなら、設計を相談する前から、何を優先するべきかをよく考えるといいと思います。

最長60年の保証を受けるには、その家が「長期優良住宅」の認定を受けることが条件になっている場合がほとんでです。また、マイホームを売却する際、「住宅の再販システム付き住宅ローン」を利用するにも、長期優良住宅であることが必須条件になります。

№52 全国に広がるゼロカーボンシティ

これからは、省エネ性能の低い家は無価値になる

ZEHは家の必要最低条件!

東京都は、年間に建物の供給床面積が2万㎡を超えるハウスメーカーに太陽光設備を義務化しました。現在、2050年に二酸化炭素排出量実質ゼロに取り組む「ゼロカーボンシティ」の参加に都道府県、市区町村が次々と手をあげています。国のエネルギーに関する補助金を活用し、太陽光発電パネルの設置やEV車の購入が進められているのです。都道府県や市区町村が地域で電気の地産地消に取り組む中、あなたが家を建てるエリアはどうでしょうか?

これからの家は、エネルギーを自給自足できることが大前提です。そのために、ぜひ、次の2つのポイントを踏まえて工務店探しをしてください。1つ目は、家そのものが電気を消費しない家であること。工務店に一次エネルギーを削減する能力があるかを見極める目が大切です。最低限でも「ZEH登録ビルダー」であることを確認してください。2つ目に今後のエネルギー社会を見据えたアドバイスをくれる工務店でZEH基準の家を建てるのは当たり前。しかし、設計段階のUA値が基準内でも、実際の消費電力が大きければ本末転倒です。数字だけの「設計ZEH」ではなく、実際にどれだけ省エネできるかという「実質ZEH」が重要です。

№51 自分の人生に必要な家は、変わります

「生涯この場所で暮らす」なんて時代は過去のもの

これからの暮らし方を考える

私は、いつも「一生に1回の家づくりを、一生に3回の家づくりに変えてください 」と話しています。今住んでいる場所、家族、仕事は不変のものではありません。マイホームを建てたからといって、その場所に縛られることはないのです。

コロナ下渦でオンライン作業に変わり、今後はますます流動的になっていくかもしれません。

マイホームを持つとその土地に縛られているように感じるものです。しかし、その時の状況に合わせて、住む場所を変えてもいいのです。

「この家は電気料金が上がっても電気を買わなくていい家です」「地震や台風にも備えた家です」「家じゅうがいつも同じ温度、湿度でヒートショックもありません」「コロナウイルスも除去できるので家庭内感染も安心です」「EV車をお持ちなら『おうち充電』ができます。そして、何より「資産価値の高いスマートハウスです」と。

お子さまの成長をきっかけにマイホームを考える人は多いと思います。では、その20年後はどうでしょう?。お子さまが成長し独立した後は、ご夫婦二人の暮らしになります。その時に自分たちが暮らすのは、大家族用の家のままがよいのでしょうか?

人生にはさまざまなライフイベントがあります。そして、その時々で家族構成や暮らし方も変わります。生活の場である家も、暮らしやすい形は変わるのです。

№50 火災保険の契約内容を理解する

被災後の生活再建には。お金が必要

契約期間が5年に短縮される

もし、自然災害などで家に被害があった時、再建には費用がかかります。それだけに、火災保険の備えはとても重要です。2022年度、住宅火災や災害に備える火災保険の契約期間が最長10年から5年に短縮し、保険料の見直しを素早く反映できるように変更したのです。保険料も引き上げる見通しで、加入する側にとっては負担が増えることになります。それほど日本が未曽有の自然災害にいつ遭遇するかわからない国になったということです。

近年、台風などの自然災害の多発で火災保険は赤字構造に陥っており、保険料の上昇が続いています。その保険がどのような災害に適応するかを確認し、自身が納得した上で加入しましょう。

火災保険料をできるだけ安く抑えるなら、家を「省令準耐火構造」にすることです。壁・床・柱などが一定の耐火性能を持ち、火災発生時に一定時間部屋から火を出さない構造であることで一般の木造住宅より保険料が割安に設定されているのです。

〇火災保険の補償内容

火災保険の保証は、火事だけでなく自然災害などによる被害にも適用されますが、契約内容をキチンと確認し自分の状況に適したものを選ぶようにしましょう。

【火 災】失火やもらい火による火災の損害など

【風 災】台風などによる窓ガラスや屋根の破損など

【水 災】台風にや集中豪雨による洪水などの水災による損害など

【衝 突】自動車の飛び込みなどによる損害

【破裂・爆発】ガス漏れなどによる破裂・爆発などの損害など

【雹 災】雹(ひょう)による窓ガラスや屋根の破損など

【水漏れ】給排水設備に生じた事故などによる損害など

【騒じょうなど】集団行動に伴う暴力・破壊行為による損害など

【落 雷】落雷による火災や家電製品の損害など

【雪 災】雪や雪壊による窓ガラスや屋根の破損など

【盗 難】泥棒に建物を壊されたなどの損傷・汚損などの損害など

【破損・汚損など】誤って自宅の壁を壊したなど偶然な事故による損害など

№49 天気予報で安全対策をするHEMS

台風の上陸直前!家で何が起こっている⁉

AIクラウドHEMSが家を守る

最近、「線状降水帯」という気象用語をよく耳にします。同じ場所に次から次へと積乱雲が発生し、激しい雨を長時間降らせるため、各地で土砂災害や河川の氾濫などの被害をもたらしています。しかも、発生するメカニズムなどが解析されておらず、いつ、どこで線状降水帯が発生するかは予測できないと言われています。

そんな時、あなたの家族を守るにはどうすればいいでしょう?。私の家では、台風や集中豪雨による大雨特別警報が発令されるとAIクラウドが大活躍します。現在のHEMSは、家のエネルギーを数時間後にみえる化し、結果を報告するだけです。しかし、わが家のHEMSはそこに「非常時の停電に備える機能」も搭載しています。AIは過去の気象データと天気予想を学習し、私の家がいつ、どのくらいの電力を発電したかまで把握しています。警報が発令されると、AI自身が停電の可能性を判断し、太陽光発電で蓄電池やEV車への充電を加速させます。そして、満充電の後は停電に備えて家の給電を停止し、普段とは反対に電力会社から購入する電気を選択します。自分が自宅にいなくてもHEMSが代わりに行ってくれるのです。こうした災害に対抗するレジリエンス性能も家に求められているのです。

災害で停止したライフライン(電気・ガス・水道)で比較的に早く復旧するのが電気だと言われています。それでも停電中に使える電気が確保されていると、余裕をもって暮らすことができます。蓄電池とEV車、どちらも頼もしい蓄電設備です。

№48 非常用食料品はどこに備蓄するべき?

非常時に備えて、最低でも3日分の飲料を確保しよう。

キッチンにパントリーは必須

2004年10月23日17時56分に発生した中越地震は発生後2時間の間に震度6の強震が3回ありました。2007年7月16日10時13分、中越沖を震源に震度6弱の地震が発生し、東京電力柏崎刈羽原発が停止。断水、停電もかなり発生しました。こうした経験が私の家づくりにも生きています。

「Smart2030令和の家」は、IHキッチンのバックヤードに非常時の食品をストックできるスペース、いわゆるパントリーを標準仕様にしています。備蓄用の食料をどこに、どのようにスットックすると便利かは、被災経験のあるものでないと生かせないでしょう。

災害が発生すると、物流が止まり、スーパーやコンビニで商品が手に入らなくなります。また、災害支援物資が届くのも数日先になるかもしれません。家族を守るためには最低でも3日、できれば1週間分の食料品を備蓄しておく必要があります。

ちなみに、「Smart2030令和の家」は自宅で発電した電気を蓄電池やEV車に貯めることが可能です。災害時でも電気や水が使えるため、冷暖房、給湯、調理ができます。

備蓄というと、長期保存できる食品を保管しがちですが、いつの間にか賞味期限切れになることも。食料品の備蓄は、普段から食べている食品の消費と補充を繰り返す「ローリングストック」という考え方を取り入れるといいでしょう。

№47 断水、給水に対するレジリエンス

災害時に確保しておきたいものは、まず、飲料水

非常用給水タンク「みずがめ君」

人間が生きていくために水は絶体に必要です。災害などで断水した時に備え、水を自宅に備蓄してください。全国の自治体では、最低3日分(できれば1週間程度)が望ましいとするところが多いようです。水は1人1日3ℓが目安。1.8ℓのペットボトルなら2本を確保するとして、4人家族なら2本✖4人✖3日分=24本になります。しかも、この他にトイレや風呂などの生活水まで考慮すれば、1人当たり7ℓ✖4人✖3日分=84ℓが必要で、ペットボトルにすると約47本です。

私の家では163ℓが貯められる非常用給水タンク「みずがめ君」を設置し、普段からこの給水タンクを循環した水を使っています。また、断水が起こると、給水タンク内に留まっている水だけで暮らすことになり衛生面の不安も出てきます。それを払拭するために、家の給水元に「エミール」という抗酸化セラミック設備を設置し、さらに給水栓の根元に残留塩素を除去し、節水もできる「ナノバブル」を取り付けています。水道本管の老朽化は全国的に深刻な問題です。自身で水道管が損傷し、断水することも予め想定して備えておくといいでしょう。常備したポリタンクを持って給水車まで行き、重たい水を家まで運ぶこともありません。

東日本大震災が発生した時、停止したライフラインが9割程度まで復旧するのに要した日数は、電気が6日、水道が24日、ガスが34日だったそうです。復旧のスピードは地域によって違いますが、自宅に常備しておくことは、やはり重要だと思います。