№12 気密性を高める断熱材を選ぶ

もはや昔の常識では語れない、断熱材の選び方

隙間のできない発砲ウレタン

気密性、断熱性を高める断熱材には様々な種類があります。その中で私が自宅に取り入れているのが「発泡ウレタン」を柱の間などに隙間なく吹き付けるという方法です。なぜなら、これが一番家づくりに適しているからです。

№11でZEHの基準となるUA値の話をしましたが、実はUA値だけではわからないこともあるのです。硬質ウレタンやロックウール、セルロースファイバーなどの断熱材も設計時のUA値は発泡ウレタンと同様になります。同じ数値なら自家消費電力も同じ様に抑えられ、光熱費も同じになるはずです。しかし、実際は全く違います。以前の私の家では、硬質ウレタンの断熱材を採用しました。最初は断熱効果があったものの3年ほどで効果が激減しました。柱と柱に硬質ウレタンをはめ込む工法では、経年で木が縮むと隙間ができてしまうのです。そのことを考えれば、最初から発泡ウレタンを隙間なく吹き付けておくほうが後から隙間もできず、気密性も断熱性も維持できます。

このように、机上で算出する「設計ZEH」と、実際に暮らしてわかる「実質ZEH」には大きな差があります。大事なのは単なるUA値ではなく、実際の消費電力が毎月何KWhなのかです。

建築業界は慢性的な人手不足の状況にあります。それだけに職人さんの技量に頼らない施工技術の開発が進められています。設計図面では施工技術は見えませんが、自分の選んだ施工業者がどんな技術を選ぶのか、関心を持ってみていきましょう。

「実質ZEH」で断熱材を選ぶ

発泡ウレタンは、ウレタン樹脂に発泡剤を加えて発泡させる断熱材。適材適所の発泡ウレタンで魔法瓶のように家を取り囲むことで、家の気密性、断熱性を高めることができます。