原子力発電と同時同量のルールから生まれた課題
創った分だけ消費するルール
もともと電力会社は自社で発電と送電を行い、電力を販売していました。電気には、発電した電力と消費する電力を一致させる「同時同量」という原則があります。なぜなら電気は貯めておくことが出来ず、発電した量を同時に消費しないと停電するからです。
東日本大震災以前の日本では、原子力発電が電力供給の大きな柱になっていました。ところが、原子力発電には発電量を調整できないというデメリットがあり、安定的に電力を供給するには、常に電気を消費しなければなりません。人が電気を使わない深夜時間帯にも何らかの形で電気を消費する方法が必要だったのです。
そこで登場したのが、「オール電化住宅」です。オール電化住宅では、深夜に給湯器のお湯を沸かして貯湯タンクを満杯にし、そのお湯を翌日利用します。そして、オール電化住宅をさらに普及させるため日中より料金の安い「深夜電力割引」まで導入したのです。しかし、東日本大震災によって原子力発電は火力発電に変わり、今は深夜電力を補うために、わざわざ輸入した資源を燃やして発電を続けています。これでは電気料金が値上がりしても不思議ではありません。これからの日本のエネルギー事情を考えると、もっと自由で新しい発想が必要でしょう。
電気料金は本来、使う人の多い日中が安くなり、人が使わない夜間に高くなります。しかし、安いはずの日中の電気を高く買い、深夜電力割引のメリットもないというのが現状です。原子力発電をベースにした料金体系が最善の選択か、見直しが必要です。