2022年11月号 社会保険(労災保険)

こんにちは。アーリーです。「仕事でケガをしたら労災の対象」ということは知っている人は多いと思います。しかし具体的な条件や内容はどうなっているでしょうか?今回は、労災保険とはどんな内容なのか、改めてわかりやすく解説します。

労災保険とは

正式名称を「労働災害補償保険」といい、業務や通勤を原因としてケガ、病気、障害、死亡などが起こった場合に給付が受けられる制度です。

加入条件(1人でも従業員を雇っている会社は必ず加入しなくてはならず、会社に「雇用」されている人なら勤務日数や時間、雇用形態を問わず対象となります。)正社員だけではなくパートやアルバイト、日雇いなども対象です

保険料は100%事業者が負担します。

企業の代表者や役員、一人親方や個人事業主などは「労働者」に当たらないので加入対象とはなりません。ただし任意で労災保険に加入できる特別加入という制度もあります。

どんな場合に補償される?

労災保険が適用される労働災害は、業務に起因する「業務災害」と通勤時に起こる「通勤災害」の2種類に大別されます。

【業務災害が認められる条件】

業務災害と認められるためには、①業務中に起きた事故であること、②業務が事故の原因となったか両方の条件を満たさなければなりません。

【業務災害が認められる例】

  • 作業中の事故
  • 作業を中断しているときの事故(トイレや飲水などのために一時的に業務から離れるとき)
  • 作業の準備中または後始末中の事故
  • 緊急の業務中の事故(台風で飛ばされた会社の屋根の修理等、緊急業務を行っているとき)
  • 休憩時間中に事務所設備の不具合等による事故
  • 出張中の事故 など

【通勤災害が認められる条件】

通勤災害と認められるためには、「通勤」中といえるかがポイントとなります。

【通勤中として認められる例】

  • 業務に就くため(通勤)、または業務が終了したため(退勤)に行われる移動であること
  • 住居と就業先、就業先と次の就業先、単身赴任先と帰省先との間の移動であること
  • 合理的な経路(通常に利用する経路。住居と就業先との最短コースの他、交通事情のため迂回経路、子供を保育所等に預けるために取る経路も含む)および移動であること
  • 中断(通勤と関係のない行為を行うこと)または逸脱(通勤と関係のない目的のために経路を逸れること)していないこと

ポイント☞  通勤の中断・逸脱を行った場合、その間やその後の移動は通勤として認められませんが、日用品の購入、通院、介護など「日常生活上必要な行為」をやむを得ない事由により最小限の範囲で行う場合は、合理的な経路に戻った後の移動は再び通勤として取り扱われます。

 

労働災害(労災)と認められると以下のような補償を受けることができます

 療養補償給付・・・労働災害によるケガや病気が治癒するまでの費用(医療費)が給付されます。労災病院での受診は自己負担なしで治癒までに必要な療養または医療費の全額が受けれます。

休業補償給付・・・療養中の休業4日目から給付基礎日額の80%が支給されます。

障害補償給付・・・後遺障害が残った場合、一定額の年金または一時金が支給されます。

遺族補償給付・・・労災により労働者が死亡した場合、遺族には原則として遺族補償年金が支給されます。