№64 宅配ボックスとガレージボックス

外出中でもスムーズに宅配を受け取るために

コロナ禍で変わった買い物事情

コロナ禍により外出して買い物することが減りました。Amazonのようなインターネットのショッピングモールで買い物をする機会が増えたのではないでしょうか。ネットショッピングは時間を選ばずに買い物ができて便利です。しかし、ここで盲点なのは、配達された商品を受け取らなければいけないということです。外出時は宅配ボックスで受け取るにしても、大きなダンボールで送られてきたりすると宅配ボックスに収まらないこともあります。

私の場合、宅配ボックスに入らない荷物は家のガレージ内に置いてもらうようにしています。パナソニックの「どこでもドアホン」というインターホンは、来訪者がインターホンを押すと外出先のスマホ画面で対応できます。また、文化シャッターの「セレコネクト」というアプリを使うと、スマホからシャッターの開閉もできます。そのため宅配業者に対して「今からガレージを開けるので、荷物を中に置いて下さい」と、お願いできるわけです。ガレージ内の様子は遠隔カメラの映像で確認でき、業者に置き場所を細かく伝えることもできます。そして、配達完了後にスマホの閉めるボタンをタップすれば、安全装置付きシャッターは自動で閉まり、不在中に荷物を盗られる心配もありません。

インターネットを経由してさまざまはものがつながる(LOT) は、今後ますます進化していきます。自分のスマートフォンから自宅のさまざまな機器を遠隔操作できることは、暮らしを便利にするだけでなく防犯や防災にも役立ちます。

№63 宅配ボックスからドロー鵜k

宅配便が空からやってくるのは当たり前⁉

ドローン宅配の受け取り方

ホンダは航空機から空飛ぶ自動車の開発に着手しました。2022年秋にはANAや楽天などがドローン宅配をスタートさせます。そうなると荷物を受け取る私たちの家の在り方も変わってくるでしょう。配達された荷物は1階の玄関先に置かれるよりも2階のバルコニーに置いてもらう方が盗難に遭いにくく不在の時でも安心です。つまりドローン宅配を受け取るなら、家にドローンの離着陸ができる広いバルコニー(ドローンポート)が必要になるわけです。

また、毎日の生鮮食品をスーパーで買わずに食材の宅配会社を利用するご家庭も増えています。今までは不在時は保冷箱に入れて玄関前に置かれるのが普通でした。しかし、食材の宅配が日常化するなら、道路に面して受け取り用の冷凍冷蔵庫があるほうがいいと思いませんか?。 道路側から食材を冷蔵庫に入れ、敷地側から取り出してキッチンで調理する。そうなればキッチンも道路側にあるほうが効率的で、そういう間取りの家が便利です。キッチンに冷蔵庫を置くスペースも必要なくなるでしょう。こんな状況が普通だという時代は本当にやってきます。家を建てるなら、時代の変化を先取りし、未来を見据えた提案のできる工務店を選ぶべきなのです。

未来の住宅では、電気もプロパンガスのように電力配達会社の充電車が巡回し、家庭に給電するようになるでしょう。そうなれば電気の送電線は使用されず、電柱も電線も必要なくなります。それば災害に強い街づくりを可能にするということでもあります。

 

№62 市場連動型だからできるFIP制度

創った電気を株のように売買する

今は買い? それとも売り?

今後の日本の再生エネルギー施策は、固定価格買取制度(FIT)から「フィードインプレミアム制度(FIP)」へ移行していきます。

FIP制度は、これまでのように電力会社が自宅で発電した電気を固定価格で買い取るというものではなく、再エネ発電事業者が電気を電力市場で売電し、その売電業者が電気を電力価格に対して一定のプレミアム(補助額)が上乗せされるというものです。

自宅で発電した電気を売電するのは、証券会社で株を売るような感覚です。株を電気に、証券会社を再エネ発電事業者に置き換えるとイメージしやすいと思います。そして、あなたの担当となる証券会社の社員に変わる存在がリソースグリゲーター(RA)と呼ばれる人です。RAは市場の電力需給バランスを見るアグリゲーションコーディネーター(AC)から指示を受け、契約家庭の売電量を調整します。例えば、「今は市場に電気の供給が多いため、電気を使わないと発電所が停止します。EV車などに充電をしてください」「今は市場の電気が不足気味なので、電気を買わずにEV車の電気を使ってください」という具合です。こうしたRAからの指示に対応できる家庭はDRというインセンティブ(報奨金)を得ることができます。

電気を消費する側が電気の使用料を制御して電力市場全体の需給バランスを保つしくみをディマンドリスポンス(DR)と言います。各家庭も電気の需要を増やしたり(上げDR)減らしたり(下げDR)することで、電力全体の安定供給の一翼を担うのです。

FIT制度からFIP制度へ

●ディマインドリスポンス(DR)ディマインドリスポンス(DR)とは、各家庭が電気の使用料を制御することで市場の電気の需給バランスを保つための仕組みです。売電を行う事業者RA(リソースアグリゲーター)は、市場の電気が逼迫した時、「電気を使うのを控えてください)と各家庭に指示します。各家庭はそれに従い、電気の不足時には蓄電池やEV車に充電した電気を使い、反対に電気が余っている時には、電力会社から電気を買って蓄電池やEV車に充電を行います。

№61 VPP社会に貢献する家づくりをする

電力会社だけに頼らない、共存共栄のしくみづくり

電気代高騰を止める方法

今の日本は、太陽光で発電できる日中は電気が余り、発電出来ない夜は電気が不足する状況にあります。しかし、電気に同時同量のルールがあり、これを保てないと大停電になるため、電力会社は火力発電で夜間の不足分を補わざるをえなくなっています。その影響は私たちにも及び、「再エネ賦課金」「燃料費調達額」の形で気づかぬうちに負担が増えているのです。電力会社が電気を買い取るための「再エネ賦課金」を電気代に上乗せして支払い、また、原料高騰による燃料費の値上がりも「燃料費調整額」として負担をしています。

この事態を解決するには、大手電力会社と共存共栄の道を歩くことが必要です。普段は各家庭で電気を創って消費し、悪天候などで発電が出来ないときに非常用電源として大手電力会社から電気を買って使う。このように役割分担をするのです。太陽光発電を設置した家同士がつながり、冬に積雪で発電できない東のエリアの人には、西の発電できるエリアの人の電気を送り、夏に台風で被災した西のエリアの人には、被災していない東の電気を送ります。他の地域と送電網を介して電気を供給しあえる社会をバーチャルパワープラント(VPP)と言います。これこそ私たちの目指す社会の姿だと言えるでしょう。

FIT制度の高額補助金を賄うために、私たちは電気1kwhごとに3.36円も余分に電気料金を支払っています。電力会社は所有する火力、水力発電所を停止してまで太陽光発電の電力を買い取っているのに。この矛盾を早く解消するべきだと思います。

●電力会社と共存共栄するVPP社会

バーチャルパーワープラント(VPP)バーチャルパワープラント(VPP)は」私たちが利用する電気を社会全体で支えていくしくみです。それぞれの家に設置される太陽光発電は小規模なものですが、それらを「分散型エネルギーリソース」として捉え、まとめて制御していくことで、全体の電力の需給バランスを保つのです。

今後、角家庭が自宅で電気を創り、自治体主導で電気の需給コントロールができるようになれば、災害に対するレジリエンス性能を高めた街づくりも可能になります。国は電柱をやめて送電線を地下に埋め込む「無電柱化」を推進しています。これも津波や台風で送電ができるようにするための国土強靭計画なのです。

 

№60 2030年の電力事情を見据えた家をつくる

社会の変化に振り回されない暮らしをつくる

ランニングコストをどう抑えるか

最近「こんなに電気料金が値上がりするなら、太陽光パネルを設置できない家は建てなかった」という苦情が後を絶ちません。現在、火力発電の材料となる原油や天然ガスの価値が上昇し、また、ロシアのウクライナ侵攻により先行きはさらに不透明な状況です。生活必需品は軒並み値上がりし、家計を圧迫しています。当然、家の建築費も高騰し、住宅ローンの支払いも重くのしかかります。とはいえ、ローン返済は避けられないので、それ以外の出費を減らさなければなりません。ただし、それは生活の質を落とすということではなく、最初からランニングコストのかからない家を建てるべきだったのです。

電力の固定価格買取制度(FIT)は、「10年間は国が責任を持ってこの価格で余った電力を買い取ります」というものでしたが、現在は発電量が需要より多い時は買い取りません。設置費0円というPPAモデルのような契約をしていると、EV車の充電のために電力を買うことになり、ランニングコストを抑えるのは難しいでしょう。これから家を建てる皆さんには、この国の2030年を見据えた家づくりをしていただきたいと思います。そのためには、皆さんの家づくりに関する習熟度を高めることが何より大切です。

これから電気代はますます高くなります。PPAは太陽光発電の初期費用や維持費はかかりませんが、契約で蓄電池、V2Hが設置できない場合があります。つまり、EV車を導入しても自宅の太陽光発電を利用できないのです。

№59 電気不足でも安心に暮らせる電力系統オフラインの家

今後ますます問われる家の省エネ性能

本格的な電気不足が始まった!

2022年6月8日は猛暑の影響で7月の電力予備率が西日本では3.8%、東日本では3.1%になるという報道がありました。さらに2023年の1月の電力予備率はマイナス0.6%になる見通しで政府は全国的な節電を促すために、「電力需給注意報」と「電力需給逼迫警報」という新たな呼びかけを行うとのことです。また、この警報が出ても節電に協力しなかった企業に罰金を課す「電力使用制限令」という新たな措置まで実施されることになっています。

電力予備率とは、電気の需要と供給のバランスを見るための指標のようなものです。安定的な需給バランスを維持するには7~8%の予備率であることが望ましいのですが、冒頭のようにこの夏の予備率は3%台、冬に至ってはマイナスですから、日本の電気不足はかなり差し迫った状態だと言えます。もし電気の需給バランスが崩れると、大規模停電になる可能性があります。その時、あなたの家は大丈夫でしょうか?

「smart2030令和の家」は電気を自給自足し、電力需給逼迫警報時でも電力会社から電気を買わずにオフラインで暮らすことができます。深刻な節電情報にわずらわされることもなく、ご家族が普段通りに暮らすことができるのです。

 

№58 人生の「資産」になる家を建てよう

重荷を抱えた人生は終わりにしましょう!

20年後の人生のために

私は、家が人生の荷物になるような事態は避けるべきだと思っています。コロナ禍のクラスを経験しながら、その思いはますます強くなりました。もはや毎年当たり前のように給料が上がり続ける終身雇用は崩壊しています。未来の保証などどこにもないのです。さらに言えば、いつ、どこで、何が起こるかもわからない時代です。もしかするとご主人が怪我をするかもしれませんし、あるいは、ご夫婦が離婚するような事態もあるかもしれません。そんな時に、家が重荷になるようでは、まさに「負債」でしかないでしょう。そのようなことにならないよう、「資産」になる家づくりをしていただきたいと願っています。

「資産」になる家は、人生とともにある家です。ご家族と幸せに暮らす家は、本当に大切です。しかし、子育てが終わったら、次の人生を楽しめるように「資産」を活用していただきたいのです。そのために、まずは20年後に売却できる家を検討すべきだと思います。資産価値の高い家を建て、高く売却し、ローンという借金を終えて新たな家で新たな人生を満喫しましょう。そして、新たな家ではリバースモーゲージを利用します。これが自分の家で最後まで暮らしながら誰にも迷惑をかけずに人生を全うできる方法だと思うのです。

今後、住宅をーんは残価設定型が主流になると思います。後々のリユースまで想定し、高い資産価値を持ち続ける家を建てる。そして売却後は好きな場所で暮らす。こんなふうに人生を楽しめる家こそ、真の長期優良住宅だと私は思います。

リバースモーゲージとは、自宅に住み続けたままで、その家を担保に生活資金や老後の資金の借り入れを行う貸付制度です。住んでいる間は毎月の利息分だけを支払い、契約者が死亡した時に担保の自宅を処分し、借入金を返済します。毎月の出費を抑えられるので、無理なく日々の生活を送ることができます。

 

№57 省エネ性能の高さが家の価値を高める

ますます重要になる省エネ性能

省エネを考えないと損をする⁉

2022年10月1日、住宅の省エネ性能評価方法が変わります。これまでは断熱性能はZEH基準である等級5が最高基準でしたが、今後は等級6、7が新設され、一時エネルギーの基準にも新たな等級が新設されます。さらに長期優良住宅の認定にも、省エネ対策の強化が求められます。建物の省エネ対策には今後のロードマップも提示されており、2030年には新築住宅はZEH基準が確保されること、また、2050には中古も含めた平均でZEH基準が確保されることを目指すとしています。つまり、これまで最高の省エネ等級だったZEHの家が今後は最低基準となるのです。

これから家を建てる人には、ハードルが上がったように感じられるかもしれませんが、実は高品質な家を建てるチャンスでもあるのです。国は新築住宅に高い省エネ基準を求める一方でさまざまな支援策も用意しています。例えば、住宅ローンで「フラット35」を利用する場合、家の省エネ性能によってローンの金利の引き下げ条件が変わります。家がZEHや長期優良住宅の認定基準を満たすことで、住宅ローンの条件が有利になるのです。資金計画を考える時、家の省エネ性能がその後のコストを左右することを忘れないでくださいね。

2022年10月には火災保険料も大幅に引き上げられます。その背景には、多発する自然災害により保険金の支払いが急増していることがあります。省エネも含めた家のレジリエンス性能は、保険料の負担にも大きく関わってくる問題です。

№56 省エネ性能を評価する「BELS評価書」

マイホームの資産価値を証明するたった一つの方法

これからの家づくりに必要なもの

現行の改正建築物省エネ法では、工務店やハウスメーカーは家の設計に際し、お施主様に対して①省エネ基準への適否、②(省エネ基準に適合しない場合)省エネ性能確保のための措置について、書面で説明することが義務付けられました。お施主様が建築を依頼すると、工務店は「この断熱材をあと〇cm太くすれば、ZEH基準の外皮熱貫流率(UA値)をクルアした省エネ住宅になります。」などと、省エネ基準に照らし合わせて書面で提案します。もしお施主様が「余計に費用がかかるから、このままでいいです」と提案を受けなかった場合、当然なら家の省エネ性能は上がりません。新しい家が快適でなかったとしても、それはお施主様の責任ですし、省エネ性能が低いと税や住宅ローンの優遇も受けられず、将来の価値も上がりません。これからは家の省エネ性能が今まで以上に厳しく問われます。つまり省エネ性能の高い価値のある家を建てていれば、売却の際も高く売れるということでもあります。

現在、家の省エネ基準を証明する方法は「BELS評価書」しかありません。その家が次世代につなぐ住宅性能であることを保証する重要な証明書ですから、家を建てるときには絶体に発行してもらい、保存しておきましょう。

BELS(建築物省エネルギー性能表示制度)は、建物の省エネ性能に特化した第三者認定制度です。BELS評価機関に申請すれば評を申請する際にも資料として活用できます。

BELS表示マーク

BELS評価書では、家の省エネ性能のランクが5つの星の数で表示されます。星2つ以上なら省エネ基準に適合、星の数が多いほどランクがあがります。評価書の下部には、省エネ基準適合の可否をUA値(または、冷房期の平均日射熱取得率を示すηAC値)を記載することが可能で、その家の省エネ性能のアピールにもなります。

№55 無責任な工務店に家づくりを頼んではダメ

要望を叶えるだけが良い工務店ではない!

未来を見ている工務店を選ぶ

我が国の空き家対策は終わることのない社会問題です。これから手をかけて再生するにしても、コストをどこまでかけるかを考えれば、このまま消失する家の方が多いでしょう。いわゆる未来に価値のない家づくりであったのです。これは家を建てたお施主様だけの問題でなはなく、習熟度の低い、未来を予見できない工務店の責任も大きいと思います。

わが国には多くの工務店やハウスメーカーが存在し、そこで働く設計士たちがさまざまな間取りを考えています。これだけあれば、ある程度は固定的な建築ルールにのっとって家が建てられてもおかしくないと思うのです。しかし、工務店や家づくりをするお施主様の要望を聞くだけ聞いて、無責任に家を形にする会社もあります。家に壁をたくさん立てて、昼も暗い、動線が悪い、そんな家を建ててしまうのです。

そもそも日本の家の省エネ基準は世界基準でみても低すぎます。2030年までに全ての戸建て住宅をZEH基準にするという国の方針が決まっているので、電気を自給自足できない家を建てれば2031年にその家を売ろうとすれば格安になるということになるでしょう。

今の日本では、75戸に1戸は空き家だと言われています。これからは新築編重の考え方から、あるものを長く住み継いでいく考え方にシフトしていくでしょう。ただし、次の人が住みたいと思うような価値のある家でなければ残すことはできません。